その他〜日々のつぶやき〜
契約書 E-mail

契約書

先日アメリカのアートスタジオという所(編集プロダクションといったところらしい)からメールで原稿の以来があった。「Webであなたの絵を見た。今度編集する「ちびキャラの描き方」という本に原稿をもらえないか」とのこと。原稿料について聞いてきたので「基本はこれくらい。但し、これは一般のマンガ原稿一枚の金額。原稿の形態、契約の内容によって金額は動きます」と書いてやったら、その「言い値」で契約書が送られてきた。(郵便で)


余談だけど日本円で書いといたら「ドルでは幾らになるのか」と聞いてきた。ちょっと調べりゃ分かるのに、と思った私は傲慢なのだろうか。もちろん折り返し返事はしたけどね。ドイツでは日本円で振り込んでくれるのだが。


それともう一つ。「貴方と仕事をするのは初めてだから、誰かアメリカの(Or英語のできる)編集者の連絡先を教えて欲しい」 身元照会でもすんだろうか。NOZOMIでお世話になったFanboyのMさんのE-mailアドレスを教えた。後で聞いたら「谷沢というのは締め切りを守れる作家なのか」と聞いてきたらしい。


仕事、契約の内容を詳しく教えてください、といってあったのでメールで細かい事を伝えてくるかと思ったらいきなり契約書。ちょっと驚いた。でもって、その内容がこれまた驚き。


契約書自体がやたら細かい。オマケにやたらに文章が長い。この手のものは日本語でも「甲が…乙が…」等々、なじみのない言葉やら分かりにくい言い回しやらでヤヤコシイけど、それに輪をかけている。おまけにアメリカだからか、やたら項目が細かく「これはダメ」「この権利を放棄する」「裁判に持ち込む事ができる」が沢山。…こんな契約書にサインして「にっこり仲良く仕事しましょ」って気になれないな、日本だったらと思ってしまった。引くって。捕らえ方が違うのかもしれないけど。


で、引っかかったのが「あらゆる著作権はスタジオのものであって作者のものではない」と「本の出版後5年間は同様の仕事を他社とする場合は(著作ほかTV,DVD等のあらゆるメディア、アドバイザーとして参加する事なども含むそうだ)、スタジオの文書による事前の了解を必要とする」。著作権は、まあ、アメリカではコミックも作者ではなくて会社のものであることも多いから、まあ、覚悟はしていた。(そうはいっても、私はフリーランスであって社員ではないのだが) が、後者はいただけない。


この「5年間」の項目は厳しい。「考え直してもらえないか?マンガのイベントで「描き方教室」みたいなものをする事もあるし」 と返信したところ「それは出来ないが、ギャラの増額で補えないだろうか。それから、イベントでのレクチャーに関しては問題ない。雑誌に掲載するのも、それをまとめて本にしない限りは大丈夫」 なるほど、「書面での事前の了承」というのは、そう簡単には出ないという事らしい。


まあ、1冊の本のウチ20枚程度を担当するだけだから、割の悪い仕事じゃないんだけど。で、近く旅行に行く予定でもあったから「暫く考えさせてもらえるか」と返信したところ、「待てない。ギャラをどのくらいUPさせたらサインをしてくれるのか言ってほしい。締め切りは動かせない」 …っておい、そんな締め切り近い状態で新しい作家にオファー出すかな? で、FanboyのMさんなんかにもちょっと聞いて(他に相談できる人がいないのだ…Mさんの仕事じゃないのは重々分かっているんですけどね)、ちょっと吹っかけてみた。200%!40は著作権放棄で、60は例の「5年問題」 Mさんの助言により、「その項目には北米以外での活動も含まれているのか?」という項目もつけまして…


そしたら即座に拒否の返信。正確には、「貴方は才能ある人だけど、幾らなんでもそれは高すぎ。それに、海外での活動も考えると、今回は他の作家に頼む事にします」テナ具合。要するに、「5年間ウチと競合するような事やっちゃダメ」契約は北米以外の場合も含まれるってことだ。まあ、ここの本はヨーロッパなんかでも出てたりするからってことなんだろう。まあ、心積もりとしては交渉して150%位かな、と思っていたんだけどね、「ギャラを上げるから」と粘ってきた割にはあっさり。


今回はこの後旅行が控えていたので(最終決定メールは旅行当日の朝のやり取りだった)落ち着いた交渉は出来なかったわけだけど。まあ、向こうさんが「5年」の縛りを解いてくれれば言い値でOKだっただけにちょっともったいないが、いい経験でした。


「将来的に、一緒に仕事ができる事を願っています」と最後に書いて送ったら「こちらもそう思っています。ところで、日本の作家で英語を喋る人をご存知ありませんか」と聞かれた。やはり日本の作家の方が絵柄が圧倒的に垢抜けているから、ヤッパリ欲しいんだろうな。でも「英語を喋る作家」なんて知らないし。私みたいに余程暇なヤツでないと…。ま、中には元から英語が得意で、たまたま漫画家という人もいるのだろうケド(マンガ家って星の数ほどいるから)私は知らない。

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E-mail
海外とのやり取りは当然のことながらE-mailになります。といういか、これ無しでは私はドイツ、USと仕事をする事は出来なかっただろうと。Faxは煩わしいし、電話は時差とか料金とか、それに第一上手く話が出来ないという問題があるし^^;

初めてドイツ出版社から"Dear Nao Yazawa"で始まるメールを貰った時は、かなり慌てて、「ビジネスメールの書き方」みたいな本を買いに書店に走りました。それまでサイトのビジターとの英文メールのやり取りはあったけれど、ちゃんとした仕事上のメールというのは日本語でも殆どやり取りした事無かったので。ヘンなメールを書いたら失礼だし、アホだと思われたくなかったのだ(まあ、返信の本文見た時点でばればれだったろうが)

で、"Dear○○"で始まってBest Wishesで終わるメールを書きあげた。その後アメリカのVIZ社ピーチ編集者にメールを送る必要が出来て、同じように"Dear **"〜"Sincerely"と書いて送ったら返事はいきなり"Nao,"で始まって"take care"。これってフツーのメールじゃん。その中でも砕けた方。Helloもないのだ。とにかく、それに丁寧に返信したら幾らなんでもイヤミだろうから、こちらも"Hello, -- take care"と返事を出した。彼とはずっとこういうメールのやり取り。ドイツなんか、"Dear Nao Yazawa"から"Dear Nao"になるまで結構時間かかったのに(両方で何となく機会をうかがっていたというのもあるが)

でもってその後また、別のアメリカの出版社とのメール。上記の彼と同じような感覚で"Hello,"とやったら"Dear Nao" "Sincerely" と返ってきた。ちょいと決まり悪い思いをしましたよ。アメリカ人の人との距離のとり方は一体どうなっているんだ???

−-と思っていたら、また別の出版社とのメールで"Sincerely"と書いてきたからVIZの彼だけか、VIZの社風だかが特殊なのだろう。なんかね、手探り状態なんですね(笑)

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