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NOZOMI希
-Wish-


出版 PLEXinternational design
/Fanboy
Story
& Art
谷沢直
Colors 谷沢直

アメリカ用に描きおろした漫画ですが、内容は日本の一般的な(子供向け)少女まんが。ヒロインも日本人。日本的なほうが受けるとか何とか。(ソレはまあ、コアなファンの話じゃないのかなあ…)

この漫画そのものに関しては「谷沢直のまんが番外地」−"作品"セクションで紹介してありますので、興味のある方はご覧ください


アメリカと日本の漫画システムの違い


一般には、まだあまり知られていないと思いますが、アメリカンコミックは、基本的に分業システムが成立しています。例えば今手元にある「Powerpuff Girls」ではOriginal creator, Writer, Penciler, Inker, Letterer, colorist…と、あの単純なコミックでこれだけの人がかかわっているわけです。日本でも分業制のスタジオはありますけどね、一般的ではないだけで。でも、基本的には作家一人で全部やるか、原作と作画の分業制というのが一般的。

向こうではこれが普通なわけです。日本では手書きで入れている効果音なんかもPC(イラストレーターとか)でLettererが入れてしまうわけです(この人は噴出し内のセリフも担当します)。どーにもソレがいやなので(指定とか入れるの面倒くさいじゃないですか!でもってどうせ思ったのとは違うものが出来てくるわけだし)、私は効果音までこちらで入れるために、あらかじめ本文と効果音の翻訳を渡してもらいました。

でもって、本文セリフも事前にもらえたので、いろいろとセリフの位置や、文字のおき場所などをコト細かく指定したのですが…出来上がってびっくりのシーンはあちらこちらに…。よく言う「外国人には言わなきゃ分からない」ってのがあるけど、画像の上に直接指定したものの位置は違うわ噴出しの形は違うわ…。

どうやら「アメリカはこれだ!! この方が分かり易い」ということで、日本式のセンスは却下されたらようでした。文化の壁は厚かった、ってヤツですね。日本人の編集者も向こうに居たんだけど…でも、日本のマンガの編集者ではなかったことを考えに入れるべきだったのでしょう。自明のことだと思って、というか自明の事過ぎて「指定する」ことを思いつかなかったための失敗も、ちゃんと?ありましたが。

一番驚いたのが「……」無言の場面。最初貰ったものでは全部の場面が「Sigh」だったんですが、「チョットこれは」と流石に注文付けました。ま、Sighでもいい場面もありますけども。結局「日本人には無言で分かってもアメリカは言わなくては分からない部分がある」…ってことで、ところによってはセリフ、部分的には「……」ということに。「言葉が出ない」状態を表現したいだけなのに、どうして?

それでもって、セリフにするならセリフにするで、他のセリフにしたかったなあ、というのが…。「無言」をどういう感情の表れと読み解くかというのは人によって違うということでしょうかね。それとも、これも文化かなあ。

翻訳も「うーん、ニュアンス違うなー」ってな箇所結構あったです。WP(ウェディングピーチ)のほうはそうでもなかったんだけど。翻訳者が男(NOZOMI)か女(WP)かの違いなのかなあ。NOZOMIは日本人の帰国子女の男性(ヘンな日本語だ)、WPの方はアメリカ生まれアメリカ育ちの日本人女性が翻訳してるんですが。

最後に笑える箇所を一つ。

「願いを一つ叶えてやる」といわれて赤くなる主人公を見て
"チチをでかくしたいんだな、マセガキめ!"という男のに、
"違う! 人をぺたんこみたいに言うなー!!"

"You want big boobs? Touchy subject? You're blushing !"
"That's not true!! I'm big enough!"

意味は違わない、確かに意味は同じかもしれないが…こんなもんなのかな?
ヒロインは決して十分(でかい)とは思っていないと思うけどな、作者的には(笑)

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