5/23 観光?
今日は「美術館側との打ち合わせ」(というよりは顔合わせだね)、当然展示セル画提供者であり、谷沢と博物館のツナギでもあるE と博物館に行く。Eだって初めての場所だが私的には連れてってもらう感覚だ。打ち合わせなんてあっさり終わってしまったので、その後E 一家とフランクフルト観光。いやあ、ドイツ人じゃないけどドイツ話す人が傍にいるとお任せで安心。…その代わり面白いことはあまり起こりませんでした、フランクフルトでは(笑)

というわけで(?)一人じゃなかったので、スケッチもなし。

Eはいつも一家で移動だ。初めて会った「コミックサロン・エアランゲン」でも奥さんとちっちゃい娘さんをつれて来てた。こういうの「オタク」クンには珍しい。奥さんも娘さんも彼の趣味をとても理解しているのだ(笑)

コミックサロン・エアランゲン=ドイツのエアランゲンで、毎偶数年に開かれているコミックフェス。02年から日本のマンガも取り上げるようになり、その年に私もゲスト参加しました。

フランクフルトといえばレーマー広場でしょ

絵葉書の定番でもある。日中は観光客の流れがたえない場所。06年のブックフェアの時は来なかったけど、その前の02年のドイツのイベントの時は来ているので、2度目。

が、E一家は初めてだし、第一「ここを通らなければどこもいけない」みたいな場所なので避けられない(笑) 売っている水もお高い、バリバリの観光スポット。今回のフランクフルト滞在中は何度もここを通った。

オペラ座
せっかくの建物なのだが、高層ビルの間に入ってしまうと、どうにもしまらない…ってーか、ちょっと悲しい(笑)

でも真正面から見るとビル郡が視野に入ってこないように考えられているらしい。
写真がサマにならないもんな、と納得した。


ゲーテハウス
ここは初めて。しかし、中はともかく外側はつまらない建物だ。
日本語のパンフレットもあるんだけど、館内で貸し出す案内カードに日本語は無かった。なんでだろ…


応用美術館 Comic culture in Japan 1800-2008

映画美術館のアニメ展と併せてこちらの美術館ではマンガ展が行われていたので、打ち合わせ前によってみた。同じ通りにあるのだ(ミュージアムストリートみたいな感じだ) こちらは現代的なそっけない建物(笑)

カタログも共同で製作していて、この二つの展示は10月からデンマークのルイジアナ現代美術館で一つに構成されなおして公開されるそうだ。そっちにもワークショップに行く予定。

展示は京都漫画博物館が協力しているということなのだが、「歴史的」な明治−昭和初期の漫画」が多くて、どうもヨーロッパで今人気のある「マンガ」の展示部分が薄いのが「どうなの?」って感じ。

雑誌の展示とか単行本の読書コーナーはあったけど、現代人気漫画家の原画ひとつないのだ。提供してもらえなかったのか、頼まなかったのか…。今の作家では、しりあがり寿のインスタレーションが中央にでーんと置いてある。展示の目玉だ(応用美術館らしい?)。でもね、マンガが無いんだよ…(・・;)

1800〜ということで、浮世絵のまとまった展示もあった。「相馬の古内裏」なんて有名なモノも。これは面白かった。この辺の美術をComic Cultureとして括るのはどうかと思うけどね。

映画博物館
アシスタントディレクターのJ さんに開館前に展示のガイドツアーをしてもらって(開館は11時からなのだ…遅い)、ワークショップに立ち会うスタッフさんたちと顔合わせして、簡単な打ち合わせをした。

事前にこっそり(?)博物館のHPで(独英Web翻訳サービスで大体分かるのだ)募集人数20人というのは予習してたのだが、20人×2日と思っていたら10人×2日で20人だった。

聞くと、当初は50人と考えていたのだが、ワークショップでもあり、考え直したのだという。少人数てのは参加者にとっては確かに良いと思うけど、それにしても極端から極端に走るね…。


当初先方が出してきたプランでは参加者にストーリーボードを製作してもらうということになっていたが、こちらが提案した「キャラデザイン」というマンガとアニメの折衷案は無条件でOKされた。
事前に参加者に「何をする」みたいなのは伝えていないようだった。そんな、何するか分からん状態で金払っちゃうんだな…(有料なのだ)


この写真は07年に美術館に頼まれたニューイヤーカードを描いた時、参考にと送られてきた写真の一枚。
今回写真を撮らずじまいでした。実際はドラゴンボールがでっかく掛かってちゃんとアピールしてたのですが。


アニメ展 Anime! High art-Pop culture
展示は欧米の日本アニメコレクターが好意で貸し出したもの(セル画、原画、絵コンテ等)で構成されているせいか、偏りがあって、日本アニメの歴史とか全体像なんかを捉える形には出来てない。まあ、「日本のアニメを総合的にとらえる」というよりは「ドイツで人気の日本アニメ」の方が客も入るし、いいのかも知らんけど。

ドイツで人気というと、「みつばちマーヤ」「小さなバイキングビッケ」(この2作品はヨーロッパと共同制作みたいな形だったらしい。ドイツ人の方は純国産か少なくともヨーロッパののアニメだと思って観ていたわけだけど、こっちも「純日本産」だと思って観ていた人も多かったんじゃなかろうか)「ハイジ」「アタックNo.1」等など。「アタックNo.1」のドイツ版オープニングが会場に流れていたが、これは笑えた。画像と全く合っていないと思うのは日本人だからか?ちなみにスペイン版はそれなりだとは思うけど、音楽は「女の子モノらしい」?感じに仕上がってる。万が一オリジナルを知らない人はこちらで。

…そしてもちろん「ドラゴンボール」「セーラームーン」「エヴァンゲリオン」…他今時の日本で人気のアニメたち。ジブリアニメ関連も少し。もっと大々的に取り上げたかったらしいが、ジブリモノは流出しないから難しい。
Eの友人が撮った写真を貰ったもの。セルを出来るだけ沢山展示できるように知恵を絞ったのだ、とJさん。
美術館側が努力したけど説得できなかったコレクターもいたようだ。セルが傷むとか(まあ、明かりにさらすとどうしても多少はね…)、事故が心配とか。コレクター心理ってそんなものだよね。特に「キャプテン・フューチャー」のセルを欲しかったんだとか。ドイツではかなり人気だったんだそうだ。日本ではそうでもないと思うんだけど…知ってます?NHKでアニメを始めた初期の頃の作品だったと思う。

幾つかカテゴリーに分けられていて、最後に3Dグラフッィクを「将来?」と疑問符をつけて締めくくっていた。ファイナルファンタジーのビデオ(映画)を流していた、確か。疑問符がついているところがなるほどな、と思える。「Frankfurt Super Flat 2008 マンガとアニメにおける建築」って展示も建築博物館でやっていたらしいが(終わってたのだ…残念)、スーパーフラットってのは確かにね、説得力ある。マンガ・アニメはリアルな表現にはなっていくかもしれないが、2次元にとどまると思うのだ。

マンガ展のほうの目玉は「しりあがり寿」だけど、アニメの方は「天野嘉孝」。「Amano」で1セクションとっている。
カタログの表紙も天野さんなのだが、会場奥にでっかいイラスト(壁画?)が展示してあったのだ。なかなかの迫力。天野さんはオープニングか何かにいらっしゃったようで、Jさんはサインしてもらったカタログを持っていた。恐れ多くも私もそのカタログに(もちろん別のページだ)サイン描かせてもらってしまった(笑)。

このカタログ、ボリューム、内容とも立派な物。「カタログというだけでなく、本として成立するように編集した」とJさん。かなりの自信作のようだ。実際、展示には辛い点数をつける人もカタログは絶賛。ドイツだけでなく、日本、イギリス、アメリカ等から論文がよせられているそうだ。

そうだ、というのは私は持っていないから。お読みになった知人によると、アニメやマンガへの偏見や誤解も無く、よく書けているとのこと。Jさんは、近いうちに英語版が出るから、そしたら送ってくれるといって私の名刺を受け取った。それから2ヶ月以上立つが未だ送られてこない。読んでみたいんだけどな。私が寄せたカットも載せられているはずだし。

カタログ表紙
   カタログ表紙
オリジナルビデオシリーズ。こんなのオンエアできません。Erotic Anime
いわゆる18禁コーナー「ピンクボックス」をわざわざ作ってる。怪しげな入り口をくぐると、そこにはエロアニメの、まさにそのシーンのセルが展示されているという…。

で、ももこのセル。エッチだけど、子供に見せてはいけないほどにはエッチではない、このセル画がピンクボックスの入り口に掲げてあるのだ(笑) このセルはまさにその役割にピッタリなのだとか。確かにエロは日本アニメの一側面ではあるけど、…このセクション必要あるのかね???


後の話だが、ケルンでドイツの出版社EMAに顔を出した時に、マンガチームの一人が「(ブックフェアなどで会う)日本出版社の人は、自分達がまるで悪いものを出しているかのように、おずおずと振舞うのが不思議だ」といっていた。聞けばボーイズラブとか、ロリ系とかのマンガのことらしい。向こうは大人向けならば気にしないのかな...。ピンクボックスを案内した時のJさん(女性)は居心地悪そうだったけどね。

このアニメ・マンガ展についてはこちらコペンハーゲン便り
"ヨーロッパ発見" フランクフルトのマンガ・アニメ展 に詳しい記事があります。


この日はホテルMaigau にE のコレクター仲間達が次々とチェックインし、夕食を一緒にした。E を含めて7人、彼曰く「ドイツ語圏のアニメコレクター全員そろった」んだそうだ。ドイツ、スイス、オーストリアの3カ国にまたがって7人。ちょっと少ないかな?まあ、それぞれかなりのレベルのコレクターだと思うが...。そのうちの一人は「セル画の提供を断ったんだ」といっていた。後で聞いたらE も「とっておき」のセルはキュレイターに見せなかったらしい。守るところは守るんだね、さすがオタクだ(笑) 一番若いT (薬学部を終了したばかり)に「今のお勧めのアニメは?」と聞かれたが、今時のアニメなんてそれほど知らないもんね、困った(^^ゞ ネット情報があるから、多分彼らの方が詳しい。
彼らは一晩だけ泊まって、翌日展示を見て直帰。忙しい間を縫って都合をつけたんだろう。私は翌日のワークショップで早出だから、彼らとはここでサヨナラだ。そして彼らは勿論コレクターなので、当然最後はサイン会になる。…この場合ファンであるかどうかは関係ない(笑)
ところで、私がアニメカタログ用に描いたカット3点も、展示に入れられていた。写真真ん中のパネルの左端…分かるかな?その真ん中のイラストがこれなんだけど、原画端の試し描き(塗り)までさらされちゃったのには驚いた(笑) 「隠さないんですか?」といったら「こういう作画の軌跡が面白いんだ」とのこと。

うーん、そうですかぁ…?でも「通常見せない部分」だからなあ。しかも同人誌印刷所がオマケでくれる「同人誌製作用原稿用紙」だよ。展示するなんて思わなかったからね。もっと言えば、あんな立派なカタログに入るなんても思わなかった。ペラなパンフレットみたいなものだと思ってた。思うよね、普通。

それにしてもこのフィルム缶は薄すぎだ(^^ゞ