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タイトル Dead Famous
作者 Ben Elton, England

前回イギリスに行ったとき(3月末)に買ってきた本。買ってからずいぶん時間がたってしまったが…出かける度に電車の中なぞでちょろちょろ読んでいたが、ラスト部分は一気に読んだ。一般向けの普通のスリラー小説で、スラングだのかなり下品な言葉だのがぼこぼこ出てくるので、決して読みやすくは無いけれど、でも面白かった。

チョット前にTVでやってた「サヴァイヴァー」みたいな趣向で、”24時間Web中継されるTV局の用意した家に10人の若者たちが共同生活をして、視聴者投票により徐々に脱落、最後に残ったものが大金を手にする…というTV番組で、TVカメラの監視の中、参加者の一人が殺される。殆ど全ての参加者にその殺人動機はあって…”という話。

かなり細かいメタファーとか洒落とか使っている(と思う)ので、イギリス人が楽しむように楽しむには、相当英語が出来てイギリス文化に堪能な人でなくては無理だと思うけれど、それでもトリックは分かったし(チョット無理がある)、犯人が割れるまでの人間模様も一通りは分かるし、その描写も面白い。ラスト近く、主人公の警部が、部下が来るまでの時間を稼ぐために演説じみたことをするのだが、その一連の場面は、ぐいぐい読まされてしまった。

この作者、本業はコメディ作家(脚本家)。私が入れあげたローワンアトキンソン主演の「ブラックアダー」(これはリチャード・カーチスと共作)、「シンブルーライン」のシナリオライター。書店に行ったときこの人の小説が何冊か並んでいて、せっかくだからと(?)買ったのだ。

チョット笑えてしまったのが、この小説の主人公、事件を担当したColeridge警部、「シンブルーライン」の主人公ファウラー警部にそっくりなのだ。いかにもオッサン的に旧式で、部下たち(女性も含まれる)の過激な発言に辟易するところとか、彼らをしらけさせるとか…シェイクスピアを引用して見せて、逆にシェイクスピアで部下にやり込められる場面なんかそのまま「シンブルーライン」にあったし。しかもアマチュア劇団で、いつも主役クラスを狙っているのだけど脇役しかもらえないというところも同じ。同じ作者だからいいのか?(笑) 

でも「シンブルーライン」はコメディだったけど、こちらはシリアスなので(笑える場面は勿論あるけど)主人公は最後はカッコよく事件を解決する。実際かなり頭がいいらしい。

イギリス本国のAmazonでは星4-5。面白いからね。作者有名だし。Amazon.jpでは星ついていませんでしたが、日本ではメジャーな作家さんじゃないから仕方ない。

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