BACK

タイトル The First Cadfael Omnibus
作者 Ellis Peters /UK

修道士カドフェルシリーズとして光文社文庫から復刊しているから読んでる人は読んでると思いますfが。NHKBSでいつの事だか知りませんが、ドラマもオンエアしたそうだし。中世、ベネディクト修道会のカドフェルという(発音はカドファイルに聞こえるが)修道士が修道院の近辺、ウェールズとの国境近くで起こる事件にかかわり、解決していくというお話。

この主人公、十字軍に参加した歴戦の勇者で、そのときの経験を元に植物学、薬学に精通し、人間への洞察力も優れ…でもって修道士ってんだから異色の探偵であることは間違いない。オマケに舞台は中世、まだ宗教革命も起こっていない頃。ミステリの舞台としても異色。

科学的な捜査なんてありえないし、「犯罪捜査」の専門化がいるわけでもない。オマケに証拠が出てくるのも偶然だったりするし、その証拠自体も、論拠も、なかなか弱い(笑)。奇跡だって起こる。ミステリーというよりも、歴史+恋愛小説(シリーズ通して、ほぼ必ず若い男女の恋愛が描かれるらしい)として読むものだろうなーというのが感想。そう思って読めば、まあ大傑作とは言わないまでも面白い。

このシリーズ、知人にはまっている人がいて「面白い」というので、ちょっと検索かけてみたらAmazonのユーズドストアで大変に安く出ていた…で、試しに買ってみたもの。シリーズの1作目から3作目まで収録していて、大変お得。Amazaonのレビューで、翻訳にあまりいいこと言ってなかったので、じゃあオリジナルから読んでみようかなーと。

まあまあ、内容はよかったんですけどね…読みにくい。文章がカンマ、カンマでやたら長い。今時の小説は割りとショートセンテンスでテンポを出しているものが多いから、そういうものに比べると辛い。部分的に大変に大変に眠くなりました(笑)。日本語ほどではないにしても、中世独特の言い回しだったり、修道院用語(?)が何の説明もなく出てきたりするし。もちろん全部は分からない。分からないところは置いといて…それでも読み通すのに結構根性が要りました。

しかしね、その後で日本語訳を手に入れて、一番面白かった2作目を読み比べてみたら…「??」なんでココの表現省いてるの? 見たいな箇所が随所に。日本語もちょっと硬くてねー。こなれてないというか。訳者が、プロではあっても小説を訳すプロではないらしいから、そのせいかも知れないけど…。小説を翻訳するときには訳者に創作(創造)的文章を書く力がないと、キツイものがある。

全シリーズ読むか?っていわれるとオリジナルは英語が読みにくいし、日本語訳は失礼ながら文章に引っかかるしでちょっと難しいかも。何冊かは日本語で読んだんですが。何しろ自分のイメージで「私」の人が「僕」というだけで引っかかってしまうこともあるくらいなので。(先に原文を呼んでしまうときの欠点かもしれない)…うーん、どうしようかな。

BACK