The Party Zone 通信 真空地帯インタビュー
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これはですね、去年のドイツ行きに合わせてドイツの出版社のインタビュー(メールで)を受けたものなんですね。「英語で」と言われたんだけど、「自信がないから質問は英語でいいけど答えは日本語にさせて」といいまして、あちらのPCは日本語表記が出来ないと言うことで(プログラム入れようよー、日本のマンガ出版してるんだからサー)、印刷してFAX.で送ったものを向こうでドイツ語に訳してもらったのでした。

で、こういうの自分のサイトに入れるのもどうかな、ってのもありましたけど、たまに頂いたりする質問の答えにもなっている部分があるし、せっかく日本語で答えてるんだから、「彩り」でのっけようと思って、思ったままで忘れてて、旧PCからデータを写していて思い出しましたので、覚えているうちに載せてしまおうと思いまして。

質問文の訳は私です。間違ってるトコあったりしたら(あるんじゃないかと思う…)ぜひ教えていただきたい…。みっともないから原文はカットしようかとも思いましたが(笑)潔くないのでやめました。(^^ヾ)

このインタビューの一部はここの出版社のサイトに( special-> interview )ドイツ語で載ってます。この前翻訳サービス一日体験を利用して英語に訳してみたらちょっと変だった。「谷沢直というペンネームで持込をしていて」が「谷沢直と言うペンネームで働いていて」になっていたり…しかしこれは独英翻訳ソフトの限界なのか、それとも本当に向こうが間違えているのかわからないところが笑える…。(ドイツ語はお手上げっすよ)

広島、長崎に関する部分なんかはちょっとドイツっぽいかなーと、面白く感じました。これがたとえばアメリカとかイギリスとかだったら、そういう質問は出るのかなーってなことで。

このインタビューで「建築に興味ある」といったら(興味あるというよりも建築の写真は役に立つ、と言うだけの話だが)ドイツの民家のフィギュアを作ってきてくれたり写真集や絵葉書をくれたりする人が…。(笑)あり難かったですョ。

ドイツ版限定コミックス表紙

真空地帯インタビュー

1真空地帯はウェディングピーチとは全く違う作品ですね。コメディではなく、シリアス、主人公は強くはあるが普通の(何らかの超能力を持たない)少年、そしてストーリーは倫理的問題――退廃、人間性、連帯――といったようなことについて語られ、人々は真実を追い求めている。どのようにして、こういった深刻な(Grave)話を描くにいたったのですか?

1.  Until now the German fans know your artwork best from WEDDING PEACH. The story of SHINKU CHITAI is very different to your better known (earlier) works. It’s not funny but serious, it’s the story about a very strong young boy (but without magical gifts) and it seems to talk about ethic questions: corruption, humanity, solidarity… and people, who are looking for the truth! How does it come, you turned up to such a grave story?

まさに暗くて悲惨な”Grave(墓)Story”(笑)。昔の話なものであまりよくは覚えていませんが、確かそもそもの始まりは大学の保健体育の講義中にノートに書いていた落書きから。(日本の大学は通常1,2年生で一般教養科目というのを選択させられますが、特にこの講義つまらなかったので…(^^ゞ)当初考えていた話は「核戦争後の荒廃した世界に生き残った子供たちのサバイバルストーリー」的な、もっとありきたりな話でした。

それを頭の中で醗酵させているうちに、「どちらを選んでも善であり悪でもある二択」と「その選択に葛藤する主人公」というテーマが出てきて、これは面白いかもしれないと。後はそのテーマを話に組み立てるのに一番やり易い設定をいろいろ考えて、結局今の設定にたどり着きました。

2:真空地帯を作るきっかけになるようなアイディアや出来事というのはありましたか?
2:Has there been a certain idea or incident to cause the creation of SHINKU CHITAI?
(3巻の後書きにもちょっと書きましたが)この話の発想の元ネタはマンガ「北斗の拳」です。あの作品の中で、主人公にくっついていたバッドという少年(確かこんな名前だったと思うのですが…特にファンだったというわけではないので、あまりはっきりと覚えていません)がいて、結構面白いキャラだったのでそんな主人公を描きたいなあと。全然違うものになりましたけどね。

「核戦争後の世界」という設定を止めた時点で、もう「北斗の拳」は頭の中から完全に消えてしまいましたから。そこから今の話に飛躍した辺りの経過は、どういう訳だか全く覚えていません(笑

ただ「関東地方が地震によって崩壊、日本政府と分断される」というのは永井豪(Nagai Goh)氏の「バイオレンスジャック」で、「バイオハザードによって世界が壊滅する」は小松松左京(Komatsu Sakyo)氏の「復活の日」でこれよりずっと前に描かれていて、私も12,3歳のとき読んでいます。少なくとも設定に関しては、ある意味これが元ネタと言えるかもしれません。

3:真空地帯の中の大災害(バイオハザードや地震、疫病)は核戦争後のシナリオを思い起こさせますが? ストーリーの初めに2回の地震があります。これは(少なくとも外国人にとっては)第二次境大戦での広島/長崎の二度の核爆弾投下を示唆しているように見えますが、意図されたものでしょうか?

3. Does the catastrophe in SHINKU CHITAI (with biohazard, earthquake & disease) remind to a post-nuclear scenario?! There are 2 earthquakes in the beginning of the story. It seems to suggest (at least for foreigners) the memory of World War II. and the two bombs on Hiroshima/Nagasaki… Was this interpretation intended??

確かに、最初のアイディアは「核戦争後の世界」でしたからそうかもしれませんね。まあ、今の世の中リアリティーのあるクライシスにはこと欠きませんが。困ったものです。それから第二次世界大戦と長崎、広島に関しては、正直言われるまで気が付きませんでしたが、もしかしたら意識下にはあったのかもしれません。

実際の所はもっと散文的な理由で、日本政府が関東を隔離するためにとどめの一撃を第二の地震として出せば説得力が出るだろうと思ったことと、日本ではここ20年ほど関東直下型地震と東海地震の危機が叫ばれているという状況があったため、リアリティーの補強ができると考えたからです。(未だどちらの地震も起こっていませんが、いつ起こっても不思議ではない状況だといわれています。コミケで日本に来る方は気をつけた方がいいかもしれませんよ・笑)

4:日本では今のところ9巻まで出されています。テツは初めは12歳、8巻までに5年の年月が経過したことになっています。どのくらいまで彼の人生を描くつもりですか?彼は最後には真実に到達できるのでしょうか?

4. In Japan there are 9 issues published, now. In the beginning Tetsu has been 12 years old, after vol. 8 he survived 5 years in the Kanto district. How many books are still planned about Tetsus Life? Will he finally get the truth?

心積もりとしては10巻でキリにしたいと思っています。テツ18歳というところでしょうかね。結果的にはテツは彼なりのTruth(真実)に到達するでしょう。ただしそれは他の者にとっての真実とは違った形になるのではないかと思います。

真実というより、答えといった方がいいかもしれませんが。彼は自分の行為に自分なりの理屈をつけて、自分自身を納得させなければなりませんから。そういう意味では、テツだけではなくて、主な登場人物たちがそれぞれの答えに到達した時に話が終われるのだと思っています。(それが難しい…(^^ゞ) (注:これは大嘘。10巻で終わらなかった)

5:真空地帯は同人誌として発行されていますが、どうして「たにざわ直(のぶる)」というペンネームを使っているのですか?

5. SHINKU CHITAI has been published in Japan of yourself (as “Dojinshi”, right?!). Why did you use the pseudonym (alias) “Noburu Tanizawa” for this work?!

たいした理由はないんですが。この本を出した当初は私はまだアマチュアだったのですが、「谷沢直」(これもペンネームpseudonymです)の名前で小学館に持込をしていました。で、編集者に趣味でこんなもの描いているということが知られると「そんなもの描いている時間があったら持込の原稿を描かなきゃだめだ」などといわれるのが関の山だったんで、とりあえずばれないように違う名前を考えたわけです。

だけど、デビューできた時に、気がつく人には気がついてほしかったので(このへんが微妙・笑)、漢字の読み方を変えただけの名前に。結局面倒くさくなってこの頃では「谷沢直」で通しちゃったりしてますけどね。


6:この作品についてはストーリーと絵とを一人で作っているわけですけれど、ウェディングピーチのような原作付きの作品との違いというのはなんですか?
6. You did the work all alone on this Manga! Scenario, storyboard, artwork in one hand… What’s the difference to teamwork like on WEDDING PEACH?
あんまり違いません(笑)。私、あまり(殆ど?)原作者の意向を汲まない作画家でしたから。連載当初はそれでも、毎回シナリオを貰って作画していましたけど、私があまりにも話を変えるので(これは個人的な推測ですけど)結局は「原作者としてはこういう流れの話を考えています」といった簡単なノートを原作の富田祐広さんからいただくようになってしまって、後は勝手にやっていました。

富田さんの原作はほぼアニメと同じストーリーでしたから、よく自由にやらせてくれたなあと感謝しています。(だから富田さん御自身はアニメの方が気に入ってらっしゃるようです・笑) 元々ストーリーから全部自分でするタイプの作家ですので、縛りがきついと息が詰まって上手くいかないんじゃないかと思いますね。自分がつまらないと面白いマンガにならないですから。

ただ、ピーチの時はアシスタントさんが何人かいて、仕上げを手伝ってもらっていましたからそっちのチームという意味では、楽だし愉しかったですけどね。

それから、ウェディングピーチは商業誌でしたから、その点での違いは大いにあります。真空地帯はもうなんでもやりたい放題で、口を出す編集者もいないし、アンケートで順位が出ることも無いし。ただその半面、客観的な視点にかけるので、独りよがりになって分かりにくい部分も出てしまいますから、良し悪しですけども。ま、やってるほうは楽しいです。

7:真空地帯は少女コメディではなく、思うに青年層の読者に向けて作られているようですが、それはあなたの「通常の」スタイルですか?MIZUKIのような少女漫画をまた描くつもりはありますか?それとももっとシリアスな題材に集中してゆくのでしょうか?

7. SHINKU CHITAI is not a Shoujyo-comedy and I suppose it’s published for adult readers?! Is it only one step out of your “normal” art? Will you continue with Shoujyo-Stories as you do with MIZUKI or concentrate on more serious topics?!

真空地帯はビジネスとしてではなくて趣味で描いているマンガですから「単純に自分が面白いと思うもの」、つまり想定している読者は自分(と同世代) になってるわけで、いわゆる青年一般マンガというジャンルに入るでしょうね。ただ、描きたいものを描いたら結果としてこういうものになったというだけで、特にジャンルに対してはこだわっていません。

現に今、このあとに描きたいなあと思っているのは14,5歳のカップルが主人公のファンタジー系アクションとでもジャンル付け出来そうなマンガで、どちらかといえばウェディングピーチの系列に入るものです。真空地帯が精神的にも厳しいマンガなので、ちょっと息抜きしたいというのもあるのですがね。

というわけですから、もしどこからか注文があればもちろん、喜んで少女コメディ的なマンガも描きます。嫌いじゃないですから。両方ほど程にできたら精神的にもバランスが取れていいんですけどね。

8:ドイツのファンはあなたの来独に大変関心を持っています。来ていただけますか?(そして、ドイツのどんなところを見たいと、或いはドイツ人について何を知りたいと思いますか?)

8. The German fans are incredibly interested to know, if you would like to come to Germany once! Will you? (And then: What would you like to see in Germany or to know about German people?!)

夏に行きます(笑)。ドイツというのは歴史ある町並みとか、美しい自然といった魅力の多い国ですけど、個人的には建物や町並みに特に興味があります。写真なんかたくさんとりたいですね。何かでいつか役立つかもしれませんし。あと、私は海外にいったときには市場をうろついて屋台なんか見るのが好きなので、そういうところにいけたらいいなあと思ってます。後は折角だからちょっとファンの人達と話ができたりするといいんですけどね。

ところで、この真空地帯、EMAのご好意でドイツの皆さんに読んでいただけるわけですけど、これはもう10年以上に渡って仕事の合間にチョコチョコと趣味で描いてきたマンガです。描き始めた当初は私はまだアマチュアでして、かなり下手くそです。そこらへんは勘弁してください(^^ゞ。…その辺考えながらみていただくと「続ければ上手くなるんだ」なんて事もわかるかもしれませんが。楽しんでいただければ幸いです。(注:見苦しくも言い訳…)

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