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爆裂桃嫁パソコン版


オヤジング・ピーチ其の六

イラスト:まみぴ
文章:直ピー




残された父を助けるべく、戻ってきたピーチ達だったが、すでに戦いおわった後だった。そこに待ち受けていたのは、さくらこと、上級天使セレーソさま。そして彼女は相変わらずのゆったりとした美しくかつ上品な口調で、優しくももこに一部始終を語ってきかせたのだった。
「翔一郎さんは、ハン魔ーに女抱きに抱きかかえられて、トレーニング用魔空間に連れていかれたのです。以前ようすけ君が攫われたのと同じに…」
扉の影で、黙って十年ぶりに見る愛する妻の話を聞いている翔一郎とまさしくぴったりとはまるナイスカップルである。しかし聞いているほうはたまったものではない。
「パパが!」
 あわてるピーチに、さくらはにっこりと、愛の女神の妹に相応しいえもいわれぬ美しいほほ笑みを満面に湛え、
「今は殿方たちに戦っていただくときです。急いで他の方々にお伝えして、助けに向かっていただきなさい」
「駄目ですわ!」
一斉に反対の声を上げようとした愛天使たちは、リリイの剣幕に一瞬気勢を削がれてしまった。
「絶対に男の方を戦いに巻き込んではいけません!」
殿方といえば愛しい愛しいお馬鹿リモーネも入ってきてしまう。こればっかりは絶対に承諾する訳にはいかなかった。
「私達で解決しなくては!」
飛び立つリリイの後をあわてて追い掛ける三人の愛天使。
「とにかく、総ての元凶はウラガーノなんでしょう?」
とサルビア。
「大体、ももこが花嫁修業をしないなんていうからこういうことになったんだろう?」
デイジーが文句をいえば、リリイも、
「ももこは何にもできないんですからしたほうが宜しいですわよ」
何しろウラガーノをこのまま放し飼いにしておいては、いつまた自分たちの旧コスチュームを父親に着せかけられるか分かったものではない二人は至って不機嫌。そんな中、父を救出に向かうももこは責任感で小さな胸がはり裂けそうになっていた。
(どうしたらいいのかしら…?)
ハン魔ーのトレーニング用魔空間の入り口に立って、ももこは決意した。
「パパと未来のパパのことで、みんなに迷惑はかけられないわ!ここから先は、あたし一人で行く!」

ピーチは、変そう用にとハン魔ーの耳頭巾を被って、一人森の奥へと入っていった。残された三人はピーチの身を案じながらも、この先に待っている翔一郎サルビアと、筋肉兄貴ハン魔ー弟の姿を想像すると、そしてまたピーチのようにへんてこりんな格好をすることを思うとなおさらのこと、足が前に進まないのであった。
続く
                          



直ピーのコメント


ここでまさかハン魔ーの双子の兄弟が出てくるとは夢にも思いませんでしたよ。それでなくてもキャラが多いのに。これじゃリモーネはますます遠くにいってしまいそうだし。もしかして、真未ピは純真な漫画ばかり描いてるから、こういう方向に振れるんだろーか…?

それはそうと、私のイラストですが、ウェディングピーチである以上、オヤジ(男)が悪魔に女抱きに攫われたら、悪魔空間で木に縛り付けられて、ようすけと同じに実験君されるのは当然の流れで当たり前すぎるくらいだと思っていたのですが。びっくりして引っ繰り返ったとはびっくりしてしまいました。確かに絵的には、殆ど嫌がらせとも取られかねないものかもしらんけど。

(すみません。だからももぴー描きました)
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